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ブラックホールならぬ「ホワイトホール」とは何か?どう違うのか?

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本記事は、What Is A White Hole And How Is It Different From A Black Hole?
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約4分23秒

ホワイトホールの存在の可能性は、1964年に理論天体物理学者イーゴリ・ノヴィコフによって初めて示唆されました。

 

ホワイトホールは、アインシュタインの場の方程式の解の一部として予言されている、時空における仮説的な領域です。

 

ブラックホールの方が説明しやすいので、まずは、ブラックホールから説明しましょう。ブラックホールは、死にかけた大きな恒星の中心が崩壊するときに形成されます。すべての質量が無限に小さな容積に押し込められます。その引力は非常に大きくなり、光でさえもその引力から逃れることができなくなります。

 

ホワイトホールはブラックホールとは正反対です。ブラックホールの事象の地平線からは何も逃れることはできませんが、ホワイトホールの事象の地平線には何も入り込むことができません。簡単に言えば、ホワイトホールはすべてを吐き出し、何も入ってこない、ということです。

 

ホワイトホールの概念は非常に複雑です。そこで、この記事では小分けにして説明することにします。読み終えるころには、この興味深い現象についてもっと多くのことを学んでいるでしょう。

 

ホワイトホールは存在するのか?

ホワイトホールは理論上の数学的概念に過ぎず、宇宙では観測されていません。ホワイトホールに関する議論のほとんどは、「仮説的」、「実現不可能」、「非現実的」という言葉で展開されています。

 

こういった議論は、一般相対性理論の法則に対する潜在的な解決策であり、永遠のブラックホールが存在するのであれば、ホワイトホールも宇宙に存在するはずだということを示唆しています。

 

ホワイトホールには質量、電荷、角運動量などの性質があると予想されるものの、ホワイトホールに近づくものは(たとえ光速であっても)決して到達しません。理論的には、この宇宙には中に入れるほどのエネルギーはないのです。

 

熱力学第二法則に反する

ホワイトホールが非現実的とされる大きな理由のひとつは、エントロピー【原子的排列および運動状態の混沌性・不規則性の程度を表す量】を減少させるという事実です。

 

熱力学第二法則では、宇宙の総エントロピーは増加し続けるため、エントロピーの変化は常にプラスになるとされています。そのため、ホワイトホールは現在の宇宙モデルには当てはまらないのです。

 

ホワイトホールに関する証拠

 

 

ホワイトホールに関する証拠や情報は不確かなままですが、2006年にニール・ゲーレルス・スウィフト観測衛星によって検出されたガンマ線バースト(GRB 060614と名付けられた)が、ホワイトホールに関する最初の記録と考えられています。

 

数秒しか続かない典型的なガンマ線バーストとは異なり、GRB 060614のハイブリッド・バーストは102秒という驚異的な長さであったものの、超新星とは無関係でした。これは、ガンマ線バーストを放出するブラックホールや他のタイプの天体に関するこれまでの科学的コンセンサスを覆すものでした。

 

ホワイトホールがダークマターを構成する可能性

2018年、科学者たちは、微小な直径を持つホワイトホールがダークマター【宇宙における一定の質量を占める物質とされながらも、光学的に観測できず、実際に存在するのかどうか確認されていないもの】を構成している可能性があると理論化しました。そのような小さなホワイトホールは放射線を放出せず、光の波長よりも小さいため、目に見えないでしょう。

 

ダークマターは我々の宇宙の約27%を占め、その局所密度は1立方パーセクあたり太陽の質量の約1%です。研究チームは、この密度をホワイトホールで説明するためには、1万立方キロメートルあたり1個の微小なホワイトホール(約100万分の1グラムで陽子よりはるかに小さい)が必要だと評価しました。

 

ホワイトホールはビッグバン以前から存在していたかもしれない

 

 

研究者たちが提唱するもうひとつの興味深い理論は、ホワイトホールがビッグバンを説明できるかもしれないというものです。というのも、これも膨大な量の物質とエネルギーが自然発生的に出現したケースだからです。

 

実際、ビッグバンはホワイトホールの爆発の結果であり、ブラックホールによって消費されたすべての物質と情報が噴出したと考えられています。

 

もちろん、この説が正しいかどうかはわかりませんが、それにしても、ホワイトホールから生命が誕生したと考えるのは面白いことです。

 

ホワイトホールとブラックホールはワームホールでつながっている

 

 

ホワイトホールの存在を研究する主な理由のひとつは、ブラックホールの中心で何が起こっているのかという未解決の謎を解くことができるからです。ブラックホールに吸い込まれた情報はどうなるのでしょうか?

 

いくつかの理論は、ブラックホールの反対側にホワイトホールがあることを示唆しています。ブラックホールに飲み込まれたすべての物質と情報は、ホワイトホールによって別の宇宙に放出されるのです。

 

ブラックホールの「入り口」とホワイトホールの「出口」は、まったく異なる2つの宇宙につながっている可能性があります。この接続を可能にしているのがワームホール【虫食い穴、瞬間移動を可能にする時空のゆがみ】と呼ばれるもので、時空の別々の場所にそれぞれ両端があるトンネルとして視覚化できます。

 

一般相対性理論にはワームホールを構成する有効な方程式がありますが、宇宙ではまだ観測されていません。ワームホールは短い距離(数メートル)、非常に長い距離(数百万光年)、あるいは異なる宇宙をつなぐ可能性があります。

 

1935年、科学者たちはアインシュタインの一般相対性理論を用いて、シュヴァルツシルト・ワームホールと呼ばれる最初のタイプのワームホールを発見しました。シュヴァルツシルトの計量全体は、ホワイトホール、ブラックホール、そしてワームホールを介して事象の地平線で結ばれた2つの別々の世界で構成されています。

 

シュヴァルツシルト解には、正と負の平方根という2つの有効な方程式があります。後者の平方根は、ブラックホールが時間的に逆行することを説明し、これはホワイトホールも表しています。

 

ホワイトホールが拓く時間旅行の可能性

 

Les BossinasがNASAのために構想したワームホール旅行

 

ある条件下では、ワームホールは空間上の2点を結ぶのではなく、時間上の2点を結ぶことができます。したがって、ブラックホールに飲み込まれた物体がワームホールを通り抜け、別の時間[または空間]の領域にあるホワイトホールから吐き出される可能性があります。

 

しかし、この概念には多くの欠点があります。例えば、ブラックホールに落ちる物体は、その巨大な引力に耐えられないでしょう。また、ワームホールは信じられないほど不安定なので、瞬時に崩壊してしまうかもしれません。

 

それでも、ワームホールが存在すれば、時間だけでなく空間も移動できることを示した物理学者もいます。ノーベル賞受賞者でもあるカリフォルニア工科大学のキップ・ソーン教授は、これら3つの現象(ブラックホール、ワームホール、ホワイトホール)によって、人類は時間(何千年にもわたって)を行き来できるようになるかもしれないと理論化しています。

 

正直なところ、ホワイトホールに関しては何百もの理論がありますが、科学者たちはその存在を証明する確かな証拠を発見してはいないのです。もしかしたら、この広大で神秘的な宇宙には、ホワイトホールが存在するスペースもあるのかもしれません。

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