・非爆発性のリチウムイオン電池は突然の刺激で個体に変化する液体の興味深い反応にインスパイアされたものです
・球体のシリカ粒子をバッテリー液に分散させることによって作られており、衝撃時にイオンの流れを遮断します
リチウムイオン電池は市場で入手可能な最も強力な充電式の電池で、あらゆる家電製品に用いられています。リチウムは金属の中で最も軽く非常に強力な電気化学ポテンシャルを持ち、メモリ効果の影響が小さく自己放電が少ないという特徴があります。
しかしながらこの頃、時折爆発を生じさせる性質のためにニュースになっています。頻繁に起こることではありませんが、爆発した場合には重大な怪我を、悪ければ死を引き起こすこともあります。
最近、オークリッジ国立研究所の研究者たちは、爆発を防ぐためのより安価で実用的な方法を開発しました。非爆発性のリチウムイオン電池のデザインは、突然の衝撃で固体化するというユニークな液体のふるまいにインスパイアされたものです。
すべてのリチウムイオン電池は、イオンを通過させる一方で、二つの電極(アノードとカソード)を絶縁する小さなプラスチック片が含まれています。何らかの理由でこの薄いプラスチックの層が損傷を受けると電極が接触し、電池の発火を引き起こします。
こうした事態を回避するために、一部の電池には不燃性の固体電解質が付属しています。しかしながら固体電池の最大の短所として、製造工程が既存の製造モデルに大幅な変更を迫るものであるということが挙げられます。
従来の電解質に代わるものとして
より安全な電池を作るために、研究者は、標準的な電解質に特別な添加剤を混合しました。この添加剤は衝突において凝固するため、衝突が生じている間、二つの電極が接触するのを防ぎます。
電極が絶縁されている限り、リチウムイオン電池は発火しません。そしてこの方法には既存の電池製造モデルに大きな変更を加える必要がないという長所があります。
この特徴は、バッテリー液のなかの非常に小さな粒子を分散させたコロイドによって可能になりました。この研究では粒径200nmの球体のシリカを用い、従来の液体の電解質へ懸濁させました。
これらの小さな粒子は衝突時にクラスターを形成し、イオンや液体の流れを妨げます。粒子のサイズが均一であることの利点は、電解質の中に均一に分散して完全に作用することにあります。さもなければ液体は衝撃の間に粘性が低くなり(シアシニング流体)、電池が爆発しやすくなるでしょう。
安全な電池を作るためにシアシニングの分析がなされたのは、これが初めてではありません。すでにふぞろいの粒子を含んだ「ヒュームド」シリカを調査した研究チームがあり、また別のチームは円筒形のシリカ粒子を使用した結果を発表しています。
しかしながら著者たちは、円筒形の円筒形の粒子よりも球状粒子の方が応答時間と阻止能において優れ、さらに製造が容易であると考えています。
リチウムイオン電池を製造するときには通常、プロセスの最終段階で電解質を電池の中に放出して封をします。しかしシアシニングの電解質を作るなら、注入しようとするのと同時にすぐに固体状態になるため、これは不可能です。このため、研究者たちは電解質を統合する前に液体にシリカを加えるのです。
今後の展開
研究チームはさらに、電池が衝撃を受けた際に損傷していない部分を液体に保って機能を継続させると同時に、損傷した部分を固体化させるという技術改善に取り組もうとしています。
このタイプの電池はさまざまな応用が可能で、例えばドローンや電気自動車への利用がありえるでしょう。実際に、研究者は弾丸を止めることできるメガバージョンの制作を目指しています。そして任務中に25ポンドの電池と25ポンドの防弾チョッキを運ぶ兵士にとっては、大変有益でしょう。