火山とは、簡単に言えば地球(または天体)の地殻に開いた穴で、そこからマグマや、火山灰、火山ガスが噴出します。火山は通常、地殻変動プレートの間の断層線に沿って位置しています。
火山の最も一般的な分類方法は、現在の状態によるものでしょう。
活火山:マグマが活発に噴出している状態
死火山:噴火の記録がなく、今後噴火する可能性がない状態
休火山:現在は活動していないが、将来噴火する可能性がある状態
それでも、様々な火山を分類する最も効果的な方法は、その形と噴出するマグマの種類によるものです。この記事では、現在知られている主な火山のタイプを簡単に説明します。
6. 盾状火山
マウナケア盾状火山の眺め
画像提供:Wikimedia Commons
盾状火山は、他の火山と異なり、幅が広く、横たえた盾状の独特な構造です。他の火山と比べて、粘性の最も低い液状の溶岩を噴出し、この溶岩は噴火口からより遠くまで、より速く移動します。その結果、広いシート状溶岩が安定的に蓄積され、独特の構造を持つようになりました。
盾状火山に関する現在の知見の大部分は、世界最大の盾状火山群であるハワイ島での研究によって得られています。盾状火山は、通常、破滅的なまでの噴火を起こすことはなく、流動性の高い玄武岩質の溶岩を噴出します。
また、カルデラも盾状火山の特徴です。カルデラは、火山の下にあるマグマ溜まりが枯渇した後にできる大きな鍋状の窪地です。盾状火山の溶岩は粘性が低いため薄く、時には1メートル以下の厚さになることもあり、より多くの面積に広がって遠くまで移動することができます。
ハワイ島以外にも、ガラパゴス諸島、アイスランド、東アフリカ大地溝帯などに、世界有数の盾状火山が連なっています。地球で2番目に大きいマウナロア盾状火山は活火山です。
5. 噴石丘火山
エルサルバドルのイサルコ火山
噴石丘火山、別名スコリア丘火山は、地球上で最もシンプルでよく見られるタイプの火山です。この火山はほぼ、火口から噴出した火砕物(火山岩)の破片(主にスコリア【破片状の火山噴出物のひとつ】と燃えかす)でできています。
たいていは小さく、高さは30〜400mで、左右対称の形をしており、頂上にはお椀型の噴火口があります。ほとんどの噴石丘火山は一生のうち一度だけ噴火しますが、それは長期間にわたります。
メキシコのウルアパン市近郊にあるパリクティンは、1943年にトウモロコシ畑の上に突然姿を現し、脚光を浴びた噴石火山です。そのほか、米国アリゾナ州のサンセットクレーターやニカラグアのセロ・ネグロも噴石丘火山の例として挙げられます。
4. 成層火山
マヨン火山、2009年12月29日
成層火山は複合火山とも呼ばれ、急勾配と山頂の噴火口を持つのが特徴です。通常は、噴火によって流出した火山性物質が堆積し、成層化した構造をしています。
このような火山では、爆発性噴火と流出性噴火の両方が見られます。現状では、成層火山は地球上で最も危険な火山と考えられています。盾状火山よりも爆発的に噴火するだけでなく、噴出した火山灰やラハール(火山泥流)が気候や生物に大きな脅威となるからです。
1883年に噴火したクラカトア火山(ジャワ島とスマトラ島の間に位置する)は、成層火山の最も有名な例であり、200メガトン級の核兵器の爆発に匹敵する巨大な衝撃波を発生させました。その他の例としては、日本の富士山やイタリアのヴェスヴィオ山などが挙げられます。爆発後、この火山の頂上噴火口はカルデラへと変化しました。
3. 溶岩円頂丘
溶岩円頂丘(火山ドーム)は、粘性の高い溶岩がゆっくりと噴出することによってできる、小さな円形の隆起です。ほとんどの場合、このドームは活火山の噴火口内にできますが、地球上で最大の溶岩円頂丘であるラッセン山のように、単独で形成されることもあります。
盾状火山や成層火山とも異なり、火山ドームのマグマは噴出口から遠くには流れず、その周りに溜まり続けます。それでも、激しく爆発することはあります。
2. 海底火山と氷河底火山
海底火山から噴出するマグマ
画像提供:NOAA
海底火山と氷河底火山は、その名の通り、地表下にあるマグマや溶岩が噴出する火口です。物理的な特徴も噴火の仕方も、地表にある火山とは大きく異なります。
海底火山は、ほとんどが地殻変動の激しい大洋中央海嶺付近に存在し、地球上の溶岩流出量の約75%を占めています。海底火山は、数こそ少ないものの、浅い水域に存在しており、溶融した物質を大気圏に吹き上げることが多いのです。
溶けたマグマが水によって冷え固まるスピードは地上よりはるかに速いため、水中のマグマが火山ガラスになり、その後枕状溶岩になることもよくあることです。ファン・デ・フカ海嶺にあるアキシアル海山は、2015年に最後に噴火した最も若い海底火山のひとつです。
氷河底火山は、巨大な氷床や氷河のはるか下に位置しています。山頂が平らで、急峻な側面が氷に支えられているなど、珍しい特徴があります。氷床は上昇する溶岩によって溶かされ、やがて湖となります。
氷河底火山が多く見られるのは南極大陸やアイスランドですが、カナダの西部や北西部にも見られます。
1. スーパーボルケーノ
イエローストーン・カルデラの模式図
スーパーボルケーノ(破局噴火)とは、地球のマントルから上昇したマグマが地殻内に閉じ込められ、大きな圧力で爆発するまで外に出られなくなった状態のことです。【スーパーボルケーノという言葉は、破局噴火とも巨大火山とも訳されます】
スーパーボルケーノ(巨大火山)は、最も危険な火山のタイプで、一般的にはプレートの沈み込み帯やホットスポットに存在します。こういった火山は、カルデラを持つことが多く、メガカルデラと呼ばれます。
科学的に意見が一致している点は、巨大火山の爆発で発生する大量の火山灰と硫黄は、(地球のアルベド【太陽の光を地球が反射する割合】を増加させることにより)短期間、地球の気温を下げることができるということです。また、生物に甚大な影響を与える可能性もあります。
スーパーボルケーノ(巨大火山)で有名なのは、イエローストーン国立公園のイエローストーン・カルデラ、ニュージーランドのタウポ湖、タンザニアのンゴロンゴロクレーター、インドネシアのトバ湖などです。
地球外の火山
2007年に無人探査機ニュー・ホライズンズが撮影した木星の衛星イオの火山噴火(トゥワシュトラ火口地域)
画像提供:NASA
地球以外の太陽系天体でも、火山とそれに関連する活動が観測されています。火星と金星では、研究者により多数の盾状火山が発見されています。さらに興味深いのは、火星の盾状火山が私たちの住む地球の盾状火山と酷似していることです。
氷の火山は、火山のタイプの中ではあまり知られていませんが、冥王星やタイタン【土星の衛星】、ケレス【小惑星】など様々な天体に存在しています。エウロパ【木星の衛星】やエンケラドス【土星の第2衛星】では、直接的な証拠はないものの、氷の火山の活動の可能性を示唆する兆候があります。氷の火山は、溶融マグマの代わりに、アンモニア、メタン、水などを噴出します。