・HPC5とは、1秒あたり5170万件の操作(51.7petaFlops)をする、優れたGPU加速システムです。
・世界のトップ100のスーパーコンピューターの中で、5位にランクインしました。
・科学者が地下の岩石を詳細に研究し、未来のエネルギーのための技術を開発するのに役立ちます。
イタリアのEniという、多国籍の石油とガス企業の本社がローマにあります。この企業が、世界で最もパワフルで効率的なスーパーコンピューターを持っていることが明らかになりました。これはHPC5という名前で、High Performance Computing – layer 5の略です。
Eniの科学研究やイノベーションのパートナーには、MIT、国立研究評議会、スタンフォード大学、Intel、Nvidia、およびDellテクノロジーが含まれます。
Eniは通常、従業員のために、職場環境や場所を安全に改善する技術の開発に関与しています。原子力や化学物質から精製、繊維産業に至るまで、さまざまな分野で活動するデータ主導型の企業です。収益の面では、Fortune Global 500リストのトップ100にランクされています。
Eniは2020年2月に、研究を加速させてクリーンエナジーソースを開発し、油田の監視を強化するために、HPC5(HPC4の後継)を発表しました。
最もエネルギー効率の高いスーパーコンピューター
HPC5とは、1秒あたり5170万件の操作(51.7petaFlops)をする、優れたGPU加速システムです。稼働中の前身のHPC4と組み合わせると、システムの最大計算能力は70 petaFlopsに達します。
信じられないほどのパフォーマンスを脇に置いても、HPC5は“環境に最も優しい”パラレルコンピューターシステムのひとつでもあります。これは、1秒間に数10億の操作をする際に使用する電気消費量が、きわめて少ないことを意味します。同社は、HPC4が1ワットの電力を使用して1秒あたり約200億回の操作を実行すると主張しています。
HPC5 | クレジット:Eni
HPC5は、3,400個のコンピューティングプロセッサと、10,000個のグラフィックカードで構成されています。このうち、1,820台はDell EMCサーバー、7,280台のNVIDIA V100 TensorコアGPUです。
この機械は、エネルギー業界では初めてのものです。また、既存のトップ100のスーパーコンピューターと比較すると、世界で5位にランクインするでしょう。
HPC5は電力消費に関して非常に効率的であるため、Eniが環境パフォーマンスを大幅に改善し、無駄を削減するのに役立ちます。Ferrera Erbognone(Eniスーパーコンピューターを収容)のグリーンデータセンターは、他の従来のデータセンターと比較して、約4,500トンの二酸化炭素排出量を抑えています。
利点
これらのタイプのスーパーコンピューターは、科学者が地下の岩石を詳細に研究するのに役立ち、探査作業におけるエラーのマージンを減らし、持続可能性に肯定的なイメージを残します。
HPC5で使用されるハードウェアアーキテクチャのタイプは、いくつかの非常に高度なアルゴリズムと相まって、研究者は、数百平方キロメートルの表面積と数十メートルの解像度で、深さ6~9マイルにある下層土の3Dモデルを生成できます。
これが、研究者が地中海でこれまでに発見した最大のガス田である、ゾールを発見した方法です。また、Eniの60年を超える歴史の中で、スーパーコンピューターは全ての分野のデータを保存し、探査を行ってきました。
HPC4とHPC5の両方を使用して、磁気閉じ込め核融合、有機太陽電池パネル、発光太陽集光器などの将来のエネルギーを開発します。
さらにEniスーパーコンピューターを使用すると、研究者は高度な数理モデル(計測データと海洋データをマーエネルギーテクノロジーの動作に統合する)、北極圏の大陸規模の高度な気候モデル、および人工知能ツールを作成することができます。