ダイヤモンドの語源はギリシャ語の「adámas」で、「自然のままの」、「壊れない」という意味です。ダイヤモンドは、少なくとも紀元前8世紀から知られており、インド亜大陸【インド半島】で初めて発見されたと考えられています。
ダイヤモンドは、地球上の天然物質の中で最も硬い物質です。また、最も高い熱伝導性を持っています。今日では、ダイヤモンドは宝石などの装飾品に使われる宝石用原石として、あるいは様々な産業で切断や研磨の道具として使われています。
ダイヤモンドは価値が高いものの、アレキサンドライトのような希少な宝石に比べると、比較的多く出回っています。2019年の世界のダイヤモンド原石の年間生産量は1億3900万カラットでした。
ダイヤモンドはどのように説明されるのか?
ダイヤモンドは、カラット(質量)、カット(デザインの対称性、プロポーション、研磨)、カラー、クラリティ(透明度、内包物の程度)の4つの特性、すなわち4つのCに基づいて等級付けされるか、または説明されています。1カラットは200mgの質量に相当します。
ダイヤモンドの色は、化学的不純物や構造的欠陥の影響を受けます。ダイヤモンドの価値は、その色や輝度によって高まったり低まったりします。たとえば、明らかに黄色がかった色調を持つホワイトダイヤモンドは、無色または強烈な青とピンクの色のダイヤモンドよりも大幅に低い価値が評価されます。
この記事では、世界で最も大きなダイヤモンドをご紹介します。歴史的に重要なダイヤモンドや、より大きなダイヤモンドから切り出されたダイヤモンドも含まれています。
11. ザ・ゴールデン・ジュビリー
ザ・ゴールデン・ジュビリー
重量(原石):755.5カラット
重量(カット):545.67カラット
所有者:タイ国王
茶色のザ・ゴールデン・ジュビリーは、世界最大のカット・ダイヤモンド(カラーを問わず)で、カリナンIより約15.37カラットも重量があります。奇しくもカリナンと同じダイヤモンド鉱山(南アフリカのプレミア鉱山)から発見されました。
このダイヤモンドは当初「名もない褐色の石」と呼ばれていましたが、2000年のある時期にタイのプミポン前国王によって「ゴールデン・ジュビリー」に変更されました。バチカンのローマ法王ヨハネ・パウロ2世、タイの仏教最高総主教、タイのイスラム教トップであるチュララチャモントリから法王の祝福を受けています。
長年にわたり、スイスのバーゼルや米国のカリフォルニア州パロアルトなど、世界各地で展示されてきました。現在は、バンコクの王宮に展示されています。
10. ミレニアムスター
ミレニアムスター・ダイヤモンド
重量(原石):777カラット
重量(カット):203.04カラット
所有者:デビアスグループ
ミレニアムスターは、現在知られている無色透明のダイヤモンドの中で、世界で2番目に大きいダイヤモンドです。1990年、ザイール(現在のコンゴ民主共和国)のムブジ・マイ地区で発見されました。
1990年代半ばの内戦のさなか、イギリスのダイヤモンド採掘・小売会社であるデビアス社が入手したものです。1999年に初めて一般公開され、デビアスの代表的なダイヤモンドコレクション「ミレニアム」の一部となりました。
2000年、ロンドンのミレニアム・ドームで開催されたデビアスのダイヤモンド展示会で、ミレニアム・ダイヤモンドの強奪未遂事件が発生しました。ジャーナリストのクリス・ホリントンは、著書『Diamond Geezers』の中で、盗難未遂を含むダイヤモンドの詳細な歴史に触れています。
9. グレート・ムガル・ダイヤモンド
グレート・ムガル・ダイヤモンドのレプリカ
画像出典:Wikipedia
重量(原石):780 カラット
重量(カット):280カラット
世界第9位の大きさを誇るこのダイヤモンドは、1650年にインドのアンドラ・プラデシュ州にあるコラール鉱山から発見されたと言われています。ムガル王朝5代目のシャー・ジャハーンが政治的な贈り物として受け取りました。
何十年もの間、このグレート・ムガルはムガル帝国で最も有名な石のひとつでした。1665年頃、シャー・ジャハーンの息子アウラングゼーブが、17世紀のフランスの旅行者兼金商であるジャン・バプティスト・タヴェルニエにこのダイヤモンドを贈りました。タヴェルニエは日記で、「この石は、卵を真ん中で切ったのと同じ形をしている」と、このダイヤモンドを説明しています。
グレート・ムガル・ダイヤモンドは、1700年代半ばに謎の失踪を遂げ、少なくとも以前の状態では発見されていません。しかし、多くの歴史家は、失われたダイヤモンドが再カットされ、オルロフ・ダイヤモンドが誕生したと考えています。
重さ189カラットを超えるオルロフは、17世紀にインド南部で発見されました。ロシアの女帝エカテリーナ大帝が、このダイヤモンドを贈ったグリゴリー・オルロフ伯爵にちなんで命名されました。1774年以来、オルロフはロシア皇帝の笏(しゃく)に刻まれています。
8. コ・イ・ヌール
重量(原石):793カラット
重量(カット):105.6カラット
コ・イ・ヌール(表記:Koh-i-NoorまたはKohinoor)は、おそらく地球上で最も人気があり、論争の的になっているダイヤモンドのひとつです。12世紀、インドのアンドラ・プラデシュ州にあるコラール鉱山で発見され、歴史的に重要な王冠の宝石や装飾品の一部として使用されてきました。
1849年、ヴィクトリア女王の時代に大英帝国が入手し、まもなく英国に輸送された後、何度も人の手に渡っています。1852年に191カラットから現在の大きさにカットし直されました。現在は、ロンドン塔の宝石館に展示されています。
コ・イ・ヌールは、インド、パキスタン、アフガニスタン、イギリスの間で、それぞれが正当な所有者であることを主張し、何十年にもわたって外交的緊張を引き起こしてきました。
7. レソト・レジェンド
重量(原石):910カラット
レソト910カラット・ダイヤモンドは、世界で6番目に大きい宝石品質のダイヤモンドです。2018年、南アフリカに囲まれたアフリカの小国、レソトのレツェングダイヤモンド鉱山で発見されました。
レツェング鉱山を所有するダイヤモンド鉱山会社ジェム・ダイアモンドによると、レソト910カラット・ダイヤモンドは4000万ドルで売却されました。レツェング鉱山で高価なダイヤモンドが発見されたのは、今回が初めてではありません。2015年には、同じ鉱山で採れた357カラットのダイヤモンドが約2000万ドルで落札されています。
6. スターオブシエラレオネ
重量(原石):968.9カラット
西アフリカのシエラレオネにあるコイドゥという町の近くで発見された、宝石品質の大きな石です。現在、宝石品質のダイヤモンドとしては世界で4番目の大きさです。また、化学的不純物を含まない希少なダイヤモンドのひとつでもあります。発見から数カ月後、ニューヨークの宝石商が250万ドルで購入しました。
当初のカット重量は143.2カラット。その後、再カットされた17個の小さなダイヤモンドのうち、13個はほとんど傷がありません。
5. エクセルシオールダイヤモンド
重量(原石):971カラット
エクセルシオールは、1905年にカリナンが発見されるまでは世界最大のダイヤモンドでした。発見当時の原石の重さは971カラット(約194.2グラム)、葉っぱのような形でした。南アフリカの北ケープ州にあるヤーガーフォンテーン鉱山で発見されました。
1903年、このダイヤモンドは重さの異なる11個のピースにカットされました。一人の買い手には大きすぎ、高価すぎるからです。当時、エクセルシオールを小さく切り分けるという判断は、広く批判を浴びました。また、専門家からも「最大のダイヤモンドを1つ作るためにカットすべきだった」という意見が出ました。
1990年代、エクセルシオールI(69.68カラット)は約264万2,000ドルで落札されました。
4. 1,098カラットのダイヤモンド
重量(原石):1,098カラット
2021年6月1日、ボツワナに拠点を置く鉱山会社デブスワナは、重さ1,098カラット(219.6グラム)の世界最大級のダイヤモンドを発見しました。現在、3番目に大きなダイヤモンドで、まだ名前はありません。
3. ザ グラフ レセディ ラ ロナ
正面から見たザ グラフ レセディ ラ ロナ
画像出典:Graff
重量(原石):1,111カラット
重量(カット):302.37
ザ グラフ レセディ ラ ロナは、世界で4番目に大きい宝石品質のダイヤモンドです。このダイヤモンドは、ボツワナで発見されてから2年後の2017年、イギリスの宝石商Graffが5300万ドルで購入しました。
2019年、このダイヤモンドはカットされ、302.37カラットの1つの大きなダイヤモンドであるザ グラフ レセディ ラ ロナと、66の小さなダイヤモンドに生まれ変わりました。
2. カリナンIII
カリナン最大のダイヤモンド4石を身に着けたメアリー女王の肖像。
カリナンIIIはネックレスにセットされている。
重量(原石):3106.75カラット
重量(カット):94.4カラット
1905年1月26日、南アフリカの小さな町カリナンの鉱山から、縦10.1cm、横6.3cmのダイヤモンドが切り出されました。エクセルシオールダイヤモンドの3倍の大きさでした。このダイヤモンドは、当時の鉱山の所有者であったトーマス・カリナンにちなんで名付けられました。
発見から数ヵ月後、原石は売りに出されたものの、人気急上昇にもかかわらず売れ残りました。1907年に、このダイヤモンドはトランスバール植民地 (現在の南アフリカにある英国の旧植民地) によって、英国王エドワード7世への贈り物として15万ポンドで購入されました。
カリナンIII(別名レッサー・スター・オブ・アフリカ)は、洋ナシ形のダイヤモンドで、重さは約18.8g(94.4カラット)、英国女王エリザベス2世が時折愛用していました。1911年、メアリー女王は初の国会開会式で、カリナンIIIを含む最大級のカリナン・ダイヤモンド4石を身につけました。
1. カリナンI:世界最大のクリアカットダイヤモンド
カリナン原石からカットされた最大級のダイヤモンド9石(中央上部がカリナンI)
重量(カット):530.2カラット
1905年、トランスバール植民地(現在の南アフリカの一部)の町カリナンにある鉱山で、3,106カラットもの巨大なダイヤモンドが発見されました。まもなくカリナン・ダイヤモンドと名付けられました。発見当時、カリナンはエクセルシオールダイヤモンドの3倍、972カラットでした。
1907年、国王エドワード7世はカリナンを贈り物として受け取った後、いくつかの小さなピースに切り分け、研磨するよう命じました。その結果、ダイヤモンドは9つの大粒と100個近い小粒に分けられました。
9粒のうち最大の「カリナンI」は、合計74のファセット(平らな幾何学模様の面)を持つ洋ナシ形のダイヤモンドです。重さは530.2カラットで、世界で11番目に大きなダイヤモンドです。
1910年からは、戴冠式の際に君主が持つ装飾用の金棒「ソブリンズ・セプター・ウィズ・クロス」の上に「カリナンI」が見られるようになり、そのためにデザインが変更されました。
1992年、カリナンIはザ・ゴールデン・ジュビリー(カラーを問わず世界最大のカット・ダイヤモンド)に抜かれました。しかし、クリアカットのダイヤモンドとしては、カリナンIが最大であることに変わりはありません。1908年のカリナン1の価値は250万ドル(現在の約5,100万ドル)でした。