・太陽の磁場は、現在信じられているのとは全く異なる振る舞いをする。
・太陽内部の音響振動に由来する音波が、太陽表面の磁気波に影響を与える。
・この波が太陽のコロナ全体を特定の周波数帯で集団的に振動させる。
ほとんどの恒星は複雑な磁場を持ち、大気を活性化し構造化する上で重要な役割を果たしています。しかし、科学者たちはこれらの磁場の性質を完全に解読することはできていません。
1970年代、天文学者はアルヴェーン波的変動と呼ばれる現象を観測し、それ以来、太陽風において定期的に記録されています。これらのアルヴェーン波【磁場中のプラズマのなかで,磁場の方向に進む横波】は、磁場に沿ってエネルギーを伝達し、プラズマ【荷電粒子】を加熱し、恒星風を加速する役割を担っています。
最近、イギリスのニューカッスルにあるノーサンブリア大学の研究者たちが、太陽の磁気波が現在信じられているのとは異なる振る舞いをすることを報告しました。彼らは過去10年間に収集されたデータを調査し、太陽のコロナ(星を取り囲むプラズマのオーラ)の磁気波が、太陽の内部から来る音波の影響を受けていることを発見したのです。
太陽の磁気波に関する独特なマーカー
以前、アルヴェーン波は、温度が約6,000ケルビンに達し、磁場が沸騰水素によってかき回される太陽の表面で発生する、と推定されていました。
研究チームは、磁気波が太陽大気の高い位置で音波に反応することを発見しました。これらの音波は、磁気波に独特の方法で影響を与えます。つまり、太陽のコロナ全体を集団的に震わせるのです。コロナは特定の周波数帯域で振動します。
彼らは、10年間のデータから一貫してこの効果を発見しました。これは、太陽だけでなく、他の恒星の新しい基本定数になる可能性があります。
アルヴェーン波に由来するエネルギーは、太陽のコロナを100万ケルビン以上に加熱し、太陽表面よりもはるかに高温にします。また、アルヴェーン波は強い太陽風を熱して加速させ、宇宙空間へ何百万マイルも飛ばし、惑星や恒星の大気や磁場に影響を与えます。
太陽のコロナ
画像出典:NASA
重要な意味
これまでの研究では、太陽表面の沸騰水素が磁気波の励起に大きな役割を果たしている、ということでした。今回の新しい研究によって、これまでの解釈が間違っていたことが明らかになりました。磁気波を励起するのは太陽の内部音響振動なのです。
このことは、この特徴的なマーカーの下での星の振る舞いを分析・分類する新たな技術につながり、恒星大気中で磁気エネルギーがどのように伝達されるかについて、よりよく理解する助けになるかもしれません。