・新しい研究によると、宇宙が暗闇につつまれていた時代はおよそ120億年前に完全に終わったと考えられています。
・これは、第一世代の星や銀河が宇宙を照らし始めた時です。
我々の宇宙の年齢は138億年と推定されていますが、68%の信頼度で、2100万年分は確実なものではありません。
ビッグバンから約5億年後、最古世代の星と銀河が形成されました。宇宙で初めて目に見える光を放ったのは、種族IIIと呼ばれる第一世代の星々です。
これらの星々は、観測されておりませんが、非金属で太陽の100倍から300倍の質量があり、寿命が比較的短いと考えられています。このような星の出現により、宇宙暗黒時代は徐々に終わりを告げました。
初期の星々のいくつかは現在も燃えて続けているという説もありますが、不明確なものです。正確な時期はいまだ研究中ですが、新しい研究によると、暗黒期が完全に終わったのは、宇宙が現在の姿になった約120億年前とのことです。
マーチソン広視野電波望遠鏡(MWA)により得られたデータは、第一世代の星々が創世記の宇宙を照らした超微弱な信号の検出に、一歩近づいたと言えるでしょう。
再電離の時期(EoR)を探ることで、宇宙の初期段階における進化や、最初の銀河のX線・紫外線の性質など、重要な情報を得ることができるのです。
宇宙で最初にできた分子の種類は、ヘリウム水素化イオンです。この分子は、正電荷を帯びた水素原子と中性ヘリウム原子からできています。ビッグバンから約10万年後に形成されました。
陽電荷を帯びた水素原子は、宇宙が冷却・膨張するにつれて電子と結合し、中性水素を形成しました。そして、約120億年前、原子が集まり始め、星や銀河が形成されたのです。しかし、これら天体からの強い放射によって中性水素は再電離し、ほとんどの中性水素原子は星間空間から姿を消しました。
MWAは、このような暗黒期の中性原子を見つけ出し、EoRの展開に伴ってそれらがどのように進化したかを明らかにしようとするものです。この観測が成功すれば、最初の星々や銀河について重要な情報が明らかになるかもしれません。しかし、これらのシグナルをキャッチするのは大変な作業で、非常に感度の高い機器が必要です。
中性水素シグナルをキャッチ
MWAは、70〜300MHzの周波数帯で動作する2,048個の電波アンテナのアレイです。これは、宇宙論的EoRからの中性原子状水素の放射を検出するために使用されます。
しかし、研究者が検出しようとしている信号は微弱すぎるのです。中性水素の放射は波長21cmですが、120億年の間にEoRからの信号は200cmに伸びています。
人工物や他銀河のような自然物など、何百万という他天体も同波長の放射線を出しているため、これらの信号を検出するのは非常に難しいのです。
この問題を解決するために、研究者は何百もの高度な処理方法を用い、機器自体のユニークな周波数特性を考慮しました。そして、MWAの新しい構成は、いくつか非常に興味深い情報を明らかにしたのです。
今回の発見は、中性水素信号の最低限の強さを設定するもので、宇宙で最初の星が誕生した時期を正確に特定するのに役立つでしょう。
これは、MWAによって明らかにされた2年連続最低限データです。研究者は、このような実験により、捕捉が困難なEoR信号を特定できる日が来ると考えています。