フリクションについてデザイナーに尋ねると、ほとんどの人は「フリクションはUXをダメにする。」と言うでしょう。フリクションのないデザインが現在のビジネス・ゴールと言えます。確かに、簡単で素早いUXは理想と言えそうです。しかしながら、それが常に正しいというわけではありません。事実、フリクションがUXをより良くするケースもあるのです。
1.フリクションによりユーザの間違った決定を防ぐことができる
フリクションはユーザに考える時間を与え、ミスを減らします。
フリクションが安全性を向上させる一つの例が、「消去するかどうか」を確認するシステム・ダイアログです。ユーザはダイアログを見て「これは本当に自分がしたかった動作なのか?」と一度立ち止まって考えるでしょう。
2.フリクションはスキルアップに役立つ
フリクションは混乱を生み、認知負荷を増やします。通常、それは良いことではありません。しかしながら、フリクションがスキル向上のために役立つ場合もあるのです。
ゲームが良い例です。ゲームにおいてビギナーからエキスパートへとスキルアップするように、フリクションは学びを助長します。また、そもそもフリクションのないゲームは楽しくないでしょう。
しかしながら、デザイナーとしてはフリクションの程度に気を付ける必要があります。もしフリクションがなさすぎるとゲームはつまらないものになってしまいます。一方でフリクションがありすぎるとゲームは難しすぎてやる気を起こさせないものとなってしまいます。
3.フリクションによりユーザは達成感を得ることができる
ある調査で、人は誰かが作ったものよりも自分で作ったものに価値を感じるという結果が出ています。
IKEAの自分で組み立てるテーブルを人々が好むように、アプリやウェブサイトにもこれが当てはまります。
同時に以下も重要です。
・ユーザは成功した時にだけ達成感を得る
・報酬は費やした時間と労力に見合うものでなければならない
4.フリクションにより質を向上させることができる
ユーザを獲得しようと思ったときに、フリクションが邪魔になることは容易に予測できます。実際に多くのアプリやウェブサイトがとても簡単な登録プロセスを用いています。しかしながら、ユーザーの質が重要となるような場合にフリクションは役に立ちます。
例としてProduct Hunt(優れた新製品を紹介、シェアするコミュニティ)を考えてみてください。もし悪意のある人物が登録した場合、Product Huntのサポートチームにとって悪夢になります。そのため、登録時点で悪意のある人物をはじけるよう複数のステップが用意されています。
最後に
フリクションと聞くと悪いイメージですが、ご紹介したように、必ずしもそうとは限りません。フリクションは適切に用いることで、UXをより優れたものにするためのツールとなり得ます。
※本記事は、4 Ways Friction Can Improve UXを翻訳・再構成したものです。