チャレンジングな状況においては、様々なグループの人が垣根を越えて知恵を出し合うことが必要不可欠なのはわかりやすいことでしょう。
一人より二人、二人よりもっとたくさんの知性が集まった方が、集団としてよりよいものを生み出しやすくなるのです。
本記事では、このような「集団的知性」と「デザイン」との関係を考えてみます。
集団的知性とは
集団的知性(CI)とは、多くの個人の協働、協力、競争を行うことで、あたかもその集団そのものに知性や精神が存在するかのようになったものを指します。
集団を構成する個人の多様性があればあるほど、つまり異なる意見や価値観を持つ人が集まれば集まるほど、集団的知性は高まります。
ただし、集団的知性が育まれるのにはいくつか条件があるという点には注意が必要です。
他のメンバーの意見に大きく影響してしまうような専門家がいたり、コミュニケーションが多すぎたり少なすぎたりすると、うまくいかないということが知られています。
個々の考えが互いに影響し合わず、平等に扱われる環境が必要となるのです。
集団的知性の活かし方-チームワーク
デザイナーが集団的知性を活用しない手はありません。
ステークホルダーとワークショップを開いたり、グループワークを行ったりすることで最終製品を大幅にブラッシュアップすることも可能です。
ひとつ注意したいのが、グループワークには必ず誰かひとり、意思決定を行う役割を果たす人が必要だということです。
ワークショップもグループワークも、意思決定を前提にしなければ延々と続くコミュニケーションのループになってしまうからです。
集団的知性の活かし方-調査
なるべく多くの人を対象に調査を行いたい場合、Typeform、Qualroo、HotJarなどのツールを使うのも、集団的知性の活用法のひとつです。
集団的知性を活用した研究の中で面白い例のひとつが、Foldtというパズルゲームです。
このゲームをプレイすることによって、一般の人もエイズの研究に貢献できます。
実際、研究者たちの頭を15年もの間悩ませてきた分子構造の解読を、一般人のプレイヤーの手で、わずか10日で読み解くことができたそうです。
また、アンケート調査を行う際もより多様性のあるグループに質問することで、より正確な統計をとることが可能になります。
集団的知性の活かし方-商品
評価サイトや口コミサイトなどのプラットフォームは、集団的知性が商品に与える影響を表す良い例です。
データやコンテンツをたくさん集めれば集めるほど、それを集団的知性を通じた商品開発に活かすことができます。
普遍的で分かりやすい評価基準を設けて、偏りのないデータを集められるよう意識しましょう。
※本記事は、Design principle: Collective intelligenceを翻訳・再構成したものです。