UXデザインに上手くストーリーテリングを使うことで、ユーザージャーニーをより簡単にし、ユーザを引き付けることができます。
アプリをデザインする際、様々な方法でUXストーリーテリングを挿入し、印象的なユーザ体験を生み出すことができます。UXデザイナーは、UXストーリーテリングの原則、およびその原則を用いてユーザを引き付ける物語を作る方法を理解しておくと良いでしょう。
物語には関心を引き寄せる力があります。誰でも子供時代に、寝る前に両親が読んでくれる物語を楽しみにしていたことがあるでしょう。語の筋を読み、先を予想してドキドキする気持ちはすべて、本の中で意識を集中させるために大きな役割を果たしているのです。よくできた物語は、さらに聞きたいと思わせます。ユーザ体験にも、これと同じ方法が使えるのです。
UXストーリーテリングとは?
ストーリーテリングを使うことでユーザの注目を引くことができます。
様々な感情を呼び起こす物語を使うことによって、想像力やひらめき力を高めることができ、何かを教えたり、学んだりできます。また、比喩やナレーションを使用することで、聞き手の思考を働かせ、デザインに引き込むことができます。
ツイートやポップ・アップなどは、物語を通してユーザの行動に影響を与える手段のほんの一部です。
IBMのDan Gruenは次のように話します。「デザイン・コミュニケーション・ツールは多種多様な分野から成るチームの文化的違いを超え、技術をユーザーの目的と結びつけるためのものです」
私たちの多くは、UXデザインの際、すでにこのUXストーリーテリングを使用しています。以下はその例です。
- ・ペルソナ
- ・ユーザーシナリオ
- ・ユーザーリサーチ
- ・ストーリーボード
- ・カスタマージャーニー
- ・ストーリーマップ
ターゲットとするユーザをリアルに表示することで、適切な物語を作る際に役立ちますし、これらの表示は作るのも簡単です。ストーリーテリングとそのイメージを通して、誰に向けてデザインするのかを理解することで、有意義なユーザ体験を実現することができます。
ストーリーテリングをUXデザインに使用することのメリット
- ・情報を理解し吸収しやすくする
- ・複雑な考えや動作を簡単にできる
- ・興味をそそる体験を実現する
- ・ブランドや商品に対するユーザーの意識にプラスの影響を与えることができる
商品のウォークスルーは、ためになる情報などを含んだ物語を提供し、アプリや商品にはじめて出会ったユーザの暮らしを楽にします。魅力的な画像、コピーライティングがあり、3幕構成のように導入部・中間部・結末があり、ユーザの好奇心に触れることができます。パララックス・スクロールを用いても、魅力的な体験を実現することができ、ウェブ・デザインにアニメーションと供に使用することで、ユーザが好みの速さで、一定量の物語を読むことができるようになります。
UXストーリーテリングの原則
Sarah Doodyは、ストーリーテリングの原則は以下の3つに分けることができると話します。
- ・なぜ?
- ・どうやって?
- ・何が?
実際のUXデザインでは、上記に分けた原則よりも複雑になることがありますが、必ずしもそうとは限りません。良いユーザ体験とは、何か問題を解決したり、誰かの暮らしに価値を与える機会を生み出したりするものです。
以下は家計モバイル・アプリの場合の例です。
- ・なぜ?———暮らしにおける経済活動に役立てるため
- ・どうやって?———ユーザが経済情報を入力できるようになる
- ・何を?———生活費、出費の記録、投資など
一番重要なのは「なぜ?」の項目です。これがわからないと、本物の物語は伝えられません。
ストーリーテリングを使う理由
ほとんどのユーザは、ページを観覧するのに1分も費やさないでしょう。ユーザの興味を引くための時間は、実際にはおよそ10秒から20秒ほどしかないのです。よほどの事情がないかぎり、ユーザはすぐにページから離れてしまい、たとえいくら感動的な文章であったとしても、さっと読み飛ばしてしまいます。だからこそ、ストーリーテリングは強力なツールなのです。
情報の羅列だけでは、ユーザをうんざりさせてしまいます。ですがそのような情報を強い印象の物語と結びつけることができれば、あるブログのようにエンゲージメントを300%まで伸ばすことができるかもしれません。
例えばページの観覧中、支払いの際にエラーが起きたりすると、口座情報が漏れてしまうのではないかなどと一気に不安になりますよね。そんなとき、フレンドリーなポップ・アップとダイアログが問題点を伝えてくれると、安心できますし、信用度も上がります。
大半のUXデザイナーにとって、ストーリーテリングは簡単ではないかもしれませんが、すべてのデザインの裏側に、ユーザを引き付けるための物語を作るチャンスが隠れているのです。
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※本記事はHow storytelling can improve UXを翻訳・再構成したものです。