ますます多くのブランドが肯定的な感情、ポジティブな感情に向けて自社製品をデザインしています。この理由は簡単です。かつてブランドは「このアプリケーションは機能しますか?」、「あなたにとって、この製品は使えますか?」などの質問をしていました。しかしユーザーエクスペリエンスに関しては、更に一歩先を行く質問が必要です。それは、「あなたは私たちの製品を使ってどのような気持ちになりましたか?」ということです。
ポジティブな気持ちはユーザーに製品やサービスを再度利用してもらうために重要であり、ブランドはそういった感情に向けてデザインされています。
この記事では、肯定的なユーザーエクスペリエンスをデザインするいくつかの方法を検討しています。
なぜ感情が重要なのか
ブランドはユーザーを幸せにし、エンゲージし続けてもらうために、肯定的な感情をデザインしようとしています。アプリは楽しいものでなければならず、否定的な感情ではなく、成功、達成または喜びの感情を呼び起こすものでなければなりません。さらに、感情はあいまいな気持ち以上のものです。それは意思決定の鍵となるからです。
私たちのブログの以前の記事で、数年前神経科学者であるAntonio Damasioが、感情が生成される脳の部分に障害のある人を研究する際に画期的な発見をしたことについて説明しました。研究により、被験者が感情を感じることができなかったことを除いて正常に見えたことを発見しました。しかし同時に、被験者にはある共通点がありました。彼らは決断を下すことができなかったのです。
感情は、プランに加入すること、製品を再び使用することなど、積極的な意思決定をする上で重要です。したがって、ポジティブな感情は単に素敵なだけのものではなく、ブランドにとって本当の価値があるものなのです。
私たちは皆デジタル製品を扱う際に、欲求不満、怒り、絶望などのネガティブな感情を感じることがあります。しかし、幸福、誇り、成功のようなポジティブなものはどうでしょうか?
どのようにすればポジティブな感情を抱かせるブランドをデザインすることができるでしょうか?そしてそれは、顧客の保持と忠誠においてどのような意味を持つのでしょうか?
幸せなユーザーエクスペリエンスをデザインするには?
感情のためのデザインはさまざまな形をとることができますが、すべてのブランドにとってすべてが正しいわけではありません。実際には、ブランドとユーザーにどのようなものが適しているかを理解することが重要です。いくつかの例を紹介いたします。
○不完全さ
不完全性はデザインの重要な部分となっています。つまり、意図的にオブジェクトを不完全にして人間味を連想させ、ブランド自体をより個人的かつ親しみやすいものにすることです。
この例のひとつは、Typeformの新しいデザインです。ページを下にスクロールすると、ロゴの真円が不完全な形になります。
○ユーモア
「笑いはすぐ手に入る休暇である。」(Milton Berle)
ユーザーが腹を抱えて笑えるようにしたり、にんまりと笑わせたり、デスクでクスリとさせたら、あなたの勝利です。ユーモアは瞬時にストレスを和らげ、肯定的な感情を引き起こします。
研究者は、ユーモアは脳の報酬系を刺激し、ドーパミン、セロトニン、エンドルフィンなどの「幸福」ホルモンを放出させることを発見しました。しかし、何が人に面白いと感じさせるのでしょうか?
あなたが何か面白いものを作ることについてもっと学びたいなら、Scott Dikkersの書籍をおすすめします。
○誇張
しばしば、ユーモアは誇張表現に基づいています。誇張、または過小は、馴染みのある状況を極端なものに変化させます。
例えば、私たちは今日、多くの管理すべきタスクとともに生きていますよね。
Basecampのランディングページにあるこちらのイラストを見てください。女性の髪の毛は、彼女の頭が炎上するほど多くのタスクをこなしているため、文字通り燃えています。
○キャラクター
私たちはユーモアが大好きです。多くの企業がそのマーケティングに、かわいらしいマスコットキャラクターや動物を取り入れています。
もう1つの例はTrelloの最新のステータスページです。眠っているキツネは落ち着きと可愛らしさを出しています。
○アナロジー
Asnaはツールにより、日々の暮らしを楽にするプロジェクト管理ソリューションです。ランディングページで工夫されているのは、そのアナロジーの使い方です。以下の画像に見られるように、Asnaはデジタル製品のマネジメントにも利用できますが、同時に月への旅行計画にも利用できるのです。
○ゲーミフィケーション
UXデザインでは、ゲーミフィケーションが流行語になっています。しかし、実際それは何なのでしょうか?
Tubik StudioによるMediumへの投稿では次のように書かれています。
”技術界では、ゲーミフィケーションという言葉は、ウェブサイトやモバイルアプリケーションなどゲーム以外の環境にゲームの仕組みを適用する技術を表しています。”
Salesforceは、Salesforceをどのように使用するかを自分で勉強することができるプログラムであるTrailhead-programにより、ゲーミフィケーションを上手く利用しています。 Salesforce製品のマーケティングからサービスクラウド、Quipの使用方法を学習できる90以上のコースを選択できます。
ここでは、挑戦、クイズ、ポイント、バッジ、かわいいイラストを使って楽しく学ぶことができます。
ゲーミフィケーションは感情的な反応を誘発する可能性が非常に高いものです。次のレベルを達成する喜び、成功などがあるからです。ブランドは、製品やサービスに多くの時間を費やしたユーザーに対して、バッジなどを与え、労います。
ゲーミフィケーションに大いに依存しているB2C企業のもう一つの例は、さまざまなバッジを持つFitbitでしょう。
○イラスト
多くのデジタル製品にイラストが含まれています。理由は簡単です。他の人の写真よりも、キャラクターに自分を重ねる方が簡単だからです。
スラックを開いたときに見られる、ユーザーを歓迎するイラストがあります。
幸せそうな人、鮮やかな色、そして製品の色に合った服は、あなたが望ましい作業経験を生み出すことを歓迎しています。
まとめ
ユーザーエクスペリエンスをデザインする際に、ある1つの質問が最も重要です。「ユーザーはどのように感じる?」ということです。好奇心、驚き、幸福など、デジタル製品体験をデザインするうえで、肯定的な感情を呼び起こす方法はいくつもあります。
※本記事はHow to design positive user experiences?を翻訳・再構成したものです。
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