2017年は人工知能(AI)と機械学習の年だと言われています。
アマゾンやGoogleが多額の投資を行っており、こうした技術を利用した自動化はやがてウェブデザインの分野にもやってくると見られています。アイデア自体は新しいものではありませんが、デザイン業界の巨人Adobeは本格的にAIと自動化について取り組んでいるようです。
これから一体、何が起こるのでしょうか?
・Adobeの考えるAIとウェブデザインの関係
数週間前にAdobeが発表したグラフィックス製品・ウェブデザイン製品にはAIと自動化が活用されています。
Senseiと名付けられた機械学習プログラムを利用し、画像の一致不一致を判定したり文書の持つ感情を推測することができます。発表されたのはまだ完全な製品ではありませんでしたが、そのうちの60%はいずれ実際のAdobe製品に取り入れられる見込みです。
またAdobeは、画像認識や写真の切り抜き、ウェブページのデザインなどデザイナーが行う仕事を自動化するツールを製品に統合するようです。
・これから何が起こる?
Adobeは顧客に対して、全てのプラットフォーム上で同一の体験を提供したいと考えています。
そのため、同社の投資対象はAIや機械学習だけでなく、スマートホーム、広告、コールセンター、タッチスクリーンの操作だけで商品が買える売店まで多岐に渡ります。これにより他企業がカスタマイズされたコンテンツを提供しやすくなり、より一人ひとりに合った提案ができるようになるでしょう。
パーソナライズはウェブデザイン業界では決定的な要素となり始めています。
従来の企業は顧客ごとに個別化された体験をなかなか提供できていなかったのです。Adobeの取り組みでウェブデザインにもカスタマイズの波が起ころうとしています。デザイナーは簡単な入力だけでレイアウトや色使い、写真やサイズの選択が可能になります。AIがウェブページのデザインとユーザー向けの様々な要素を提案してくれるのです。
これには画像認識と基本的な編集の技術も含まれます。AIがクライアントのデータベースとメタデータから写真を選んでくれるため、カスタマイズが容易になります。その情報をAdobeのCMSに蓄積し、おすすめの提案を行うのです。
しかし、AIの提案をどうするかは結局は人間次第です。AdobeはSenseiをゆっくりと製品に組み込もうとしています。実はクリエイティブクラウド内では既に動作しており、画像認識と表情の編集機能でユーザーの手助けを行っています。
Senseiは統合された体験と小さなタスクの自動化でデザインにおける問題を解決する力を持っています。これにより顧客ごとに個別化されたウェブを提供しやすくなるでしょう。現段階で実装されている機能はまだ少数ですが、AdobeはSenseiを通して大きな革新を起こそうと準備を進めているのです。
※本稿は 「Adobe’s AI and Automation Bundle for Web Design」を翻訳・再編集したものです。