・暗黒物質が宇宙重力波の伝播に影響を与えるとする新たな観測結果が出ました。
・この効果は、現存する、あるいは近未来の検出器では測定できないほど小さいものです。
半世紀以上もの間、暗黒物質は現代科学における最大の謎の1つでした。暗黒物質と暗黒エネルギーは、宇宙の大規模な構造と観測された宇宙の膨張を説明する時、宇宙の2つの欠落した部分とされます。
近年、遠くの天体(連星ブラックホールの合体など)から重力波が直接観測されたことで、科学者の興味は天体から検出器までの重力波の伝播に移りました。
暗黒物質の性質は、地震波を使って地球の内部構造を分析するのと同じように、重力波を研究することで明らかになると考える科学者がいます。しかし、宇宙物質が重力波の伝播に与える影響をどのように測定するかが問題になります。
前回の研究では、科学者はボルツマン方程式を用いて、衝突のないニュートリノが重力波に与える影響を計算しました。この測定の結果は、波動に与える影響を分析するために使われました。この方法を放射線が支配する時代の宇宙重力波に適用したところ、かなり効果がありました。
現在、カリフォルニア大学とテキサス大学オースティン校の天体物理学者が、同じ軌道から新しい計算を発表していますが、無視できない質量があり、非常に複雑な計算になっています。
未検出の結果
これらの新しい計算は、重力波が暗黒物質の影響を受ける可能性がありますが、その影響は小さすぎて、現在でも近い将来開発されるであろう検出器でも測定することはできません。
光は、真空中を通過して物質中に入ると、速度が低下します。これは、物質の電磁場と光波の相互作用によるものです。重力波が暗黒物質にぶつかると、同じことが起こる可能性があります:波の速度が低下します。
しかし、影響力はとても小さいです。暗黒物質は、我々の宇宙の大きさに相当する波長を持つ重力波の速度を、約100万分の1だけ低下させると研究者は言っています。
2015年、レーザー干渉計重力波観測装置が、二重ブラックホールの合体から来る重力波を検出しました。計算上、ダークマターは重力波の速度を1045分の1だけ低下させます。
画像元: wikimedia
また、宇宙創生期の宇宙変化に由来する原始重力波(未検出)に対する暗黒物質の影響も発見されました。
宇宙の初期では、暗黒物質は中性子や陽子と結合し、相対論的な速度で移動していたと考えられています。このような環境下では、暗黒物質は重力波の速度だけでなく、振幅も小さくなってしまうのです。
この2つの効果はまだ検出されていません。また、今のところ、科学者は重力波の減速速度を正確に計算する方法を見つけていません。
しかし、原始重力波のスペクトルには、暗黒物質粒子の相互作用の挙動や運動論的脱離の温度など、暗黒物質に関する豊富な情報が含まれていることを実証しました。