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ホリスティックデザインとは?意味と全体最適のUXへの取り入れ方を解説

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「ホリスティックデザイン(holistic design)」とは、製品やサービスを単体の機能としてではなく、ユーザーがブランドと出会い、関わり、離れていくまでの体験全体をひとつのつながりとして設計する考え方です。この記事では、ホリスティックデザインの意味と、UXの専門家がどうとらえているか、そして実際の仕事に取り入れるための基本的な原則までを、2026年6月時点の情報としてわかりやすく整理します。

「ホリスティック」は日本語で「全体的」「包括的」を意味する言葉です。デジタル製品か物的製品かを問わず、ブランド全体で製品の使用感をデザインすることで、UX(ユーザー体験)と工業デザインとの間にあるギャップを埋めていく。それがホリスティックデザインの基本的な発想だといえます。

ホリスティックデザインとはどういう意味か

ホリスティックなデザインが何であるかを一言で定義するのは、実は簡単ではありません。デザインへのアプローチは非常に広範で、人によって少しずつ定義が変わってくるからです。ただし、どの定義にも共通しているのは「すべての経験を包括してとらえる」というビジョンに集約されている、という点です。

Adobeのブログシリーズ「Ask an UXpert」では、ホリスティックデザインがUXの専門家にとって何を意味するのかというテーマが取り上げられています。その中で、デザイナーのKarthik Vijayakumar氏は、ホリスティックなUXデザインを「ユーザーが製品やサービス、そしてそれが相互につながるシステム全体と関わっていく道のり(ジャーニー)をデザインすること」だと語っています。

つまり、製品そのものと、それを使うユーザーだけでなく、製品を見聞きして何らかの影響を受けた「まだ購入していない人」までもが接点となり、相互につながって大きなシステムを形成していく、という見方です。

この視点に立つと、UXの価値が最も高まるのは「ユーザーが製品を使っている瞬間」だけではない、ということが見えてきます。製品からインスピレーションを受けたとき、購入を検討しているとき、実際に購入したとき——ブランドとの関係はその後もずっと続いていきます。初めて製品を知ったとき、購入して開封するとき、初めて使ってみたとき、そして使わなくなってしまう瞬間まで。そのすべての経験を楽しめるようにすることが、ホリスティックデザインが目指すUXのあり方です。

従来のUXデザインと何が違うのか

従来のUXデザインも「ユーザー中心」を掲げてきました。ホリスティックデザインがそれと違うのは、視野の広さです。一画面の使いやすさやアプリ内の導線といった「製品の内側」だけでなく、その製品を取り巻く環境やブランド体験の全体までを設計対象に含めます。

観点 従来型のUXデザイン ホリスティックデザイン
主な対象範囲 製品・サービスそのものの使い勝手 認知・検討・購入・利用・離脱まで体験全体
評価のタイミング ユーザーが製品を使っている瞬間 ブランドと関わるすべての瞬間
意識する関係者 主に既存ユーザー 見込み客や間接的に影響を受ける人も含む
デザインの単位 画面・機能・操作フロー 相互につながったシステム全体

もちろん、シンプルで美しく、使いやすい機能を備えていることは重要です。しかし大きなエコシステムから見れば、製品のそうした側面は全体を構成する小さな部品のひとつにすぎません。ホリスティックデザインは、その部品がどう組み合わさり、体験全体としてどう機能するかに目を向けます。

仕事にホリスティックなアプローチを組み込む方法

ホリスティックなデザイン手法は、言葉の印象ほど複雑なものではありません。Interaction Design Foundation(IxDF)では、デザイナーがホリスティックなアプローチを仕事に取り入れるための基本原則として、以下の7つが紹介されています(fuseproject創業者のYves Behar氏の考え方をもとに整理されたものです)。

  • 回答ではなく質問から始める
  • 求められている以上のものを提供する
  • 独自の理論(仮説)を持つ
  • 360°の視点でデザインする
  • ビジネスモデルの代替案も検討する
  • 以前よりも良い状態にする
  • 自分も周りの人も望む方向性を探す

いずれも特別な道具を必要とするものではなく、考え方の習慣です。たとえば「回答ではなく質問から始める」は、与えられた課題をそのまま解こうとせず、「そもそも本当に解くべき問題は何か」と一度引いて問い直すこと。「360°の視点でデザインする」は、ユーザーだけでなく、製造・流通・廃棄・環境への影響まで含めて全体を見渡すことを意味します。

小さく始めるための3ステップ

いきなりすべてを実践しようとすると負担が大きいため、まずは次のように段階的に取り入れると無理がありません。

  • 体験全体を書き出す:認知から離脱までのユーザージャーニーを一枚の図にして、どこに接点があるかを可視化します。
  • 接点ごとの体験を点検する:それぞれの接点で、ユーザーがどう感じるかを書き添え、分断されている箇所を見つけます。
  • つながりを設計し直す:分断されている部分を、ブランド全体として一貫した体験になるよう整えていきます。

ホリスティックデザインというビジョンを追求する

ホリスティックデザインは、ともすると理想主義のように聞こえるかもしれません。それでも、製品に「完璧な」ビジョンを求めること自体が間違っているとは言えないはずです。

私たちの世代は、データを強力な手がかりとして活用できる初めての世代でもあります。データは正しく使うことができれば、思い描いたホリスティックデザインのビジョンに少しずつ近づくための力になってくれます。完璧に到達することよりも、全体を見渡す視点を持ち続けることそのものに価値がある、という姿勢が大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. ホリスティックデザインとUXデザインは何が違うのですか?

UXデザインは製品やサービスの使い勝手を中心に考えますが、ホリスティックデザインはそれを含みつつ、認知・検討・購入・利用・離脱までの体験全体や、見込み客との接点まで視野に入れる点が異なります。UXデザインをより広い文脈に拡張した考え方ととらえるとわかりやすいです。

Q. 個人や小規模なチームでも取り入れられますか?

取り入れられます。大がかりなツールは必要なく、まずはユーザージャーニーを書き出して接点を洗い出すだけでも、全体を見渡す視点が身につきます。本記事で紹介した「小さく始める3ステップ」から試してみるのがおすすめです。

Q. ホリスティックデザインに「正解」のフレームワークはありますか?

唯一の正解と呼べる固定的なフレームワークはありません。本記事で紹介した7つの原則のように、複数の考え方が提唱されています。自分たちの製品やチームの状況に合わせて取捨選択し、体験全体を一貫させるという目的を見失わないことが重要です。

まとめ

ホリスティックデザインとは、製品を単体の機能としてではなく、ユーザーがブランドと関わるすべての瞬間をひとつのつながりとして設計する考え方です。ポイントは次の3点に整理できます。

  • 視野を「製品の内側」から「体験の全体」へ広げる
  • 認知から離脱まで、すべての接点を一貫させる
  • 7つの原則を手がかりに、小さく段階的に取り入れる

まずは自分が関わる製品のユーザージャーニーを一枚の図に書き出すところから、ホリスティックな視点を取り入れてみてください。

※本記事はA guide to Holistic designを参考に、独自に再構成したものです。

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